事務局だより(2015年8月3日)

7月の講演会では、複数の方々から「1945年8月」について、それぞれの記憶を軸に語っていただきました。原爆、空襲、疎開などをめぐる個人の記憶と、アメリカ軍の資料や日本の報道を始めとする公刊された記録を参照対比しながらのお話は、個々の生活を破壊する戦争の禍々しさを浮き彫りにするのみならず、歴史を書く視座の多様性についても深く考えさせるものでした。この場を借りて、資料を提供していただいた「富山大空襲を語り継ぐ会」、長崎で被爆し、語り部として活動されていた故谷口惠美さんに、あらためて深謝および追悼の意を表します。
次回9月は、「横浜開港資料館」の副館長を講演者にお迎えし、近代日本の国際化の舞台となった横浜についてお話しいただきます。
どうぞ奮ってご参加ください。

次回講演会は、9月12日から9月5日(第1土曜日)に変更になりました。ご注意ください。時間はいつも通り、午後4時からの開催となります。
10月講演会は、10日(第2土曜日)開催の予定です。詳細は追ってお知らせいたします。


今年も全国的に猛暑の夏となりました。寝苦しい夜に疲労が溜まりがちですが、いっぽうで、照りつける日射しは、盆休みにせよ、あるいは原爆忌にせよ、慌ただしく流れていく日常の時間を一休みさせて、大切な命の喜びや悲しみを喚起してくれる契機とつながっているような気がします。

―ころがりしカンカン帽を追うごとくふるさとの道駈けて帰らん(寺山修司)

第121回講演会のお知らせ

「ペリー来航と横浜開港」
西川 武臣 氏

日付: 2015年09月05日(土)
時間: 16:00 – 18:00
場所: 渋谷アイビスビル10階 (エレベータで9階へ上がり階段でお越しください)

講師プロフィール:
西川 武臣(にしかわ たけおみ)
1955年愛知県名古屋市生まれ・明治大学大学院文学研究科博士前期課程修了。現在、横浜開港資料館副館長。博士(史学)。著書に『幕末明治の国際市場と日本』(雄山閣出版)、『開国日本と横浜中華街』(大修館書店)、『横浜開港と交通の近代化』(日本経済評論社)など。

講演要旨:
1854年、幕府は、横浜でアメリカ東インド艦隊司令長官のペリーと日米和親条約を締結しました。次いで、1858年に幕府は、アメリカ・オランダ・イギリス・ロシア・フランスと通商条約を締結し、翌年、横浜・長崎・箱館が貿易港として開かれました。講演では、横浜を舞台に繰り広げられた外国人との交流を紹介し、日本が国際化していく過程を振り返ります。

事務局だより(2015年6月17日)

6月の講演会では、沖縄の作家大城立裕の作品を取り上げて、沖縄が歴史上置かれてきた政治的、文化的立場について語っていただきました。文学という個人的な営為の分析が社会全体を語ることにつながる、という文学社会学のアプローチは興味深いものでした。
次回7月の講演会は、通常の講演会と形式を変え、70年前の8月をめぐり、歴史文化交流フォーラムの有志の皆さまからお話を伺います。皆さまの幼少期の記憶のなかにある、あるいはご親族や地域の方々から伝え聞いた1945年8月は、いまどのような形と意味をわれわれに提示してくれるのでしょうか。原爆が投下された長崎市、地方都市で最大級の空襲被害にあった富山市などを中心にお話をしていただく予定です。
どうぞ奮ってご参加ください。

8月は事務局が夏休みのため、講演会はお休みいたします。次回講演会は9月12日(第2土曜日)の午後4時からの開催となります。詳細は追ってお知らせいたします。


本格的な炎暑の季節を前に、湿気をはらんだ梅雨空の日々が続きます。でも、梅雨のさなかに夢想するかなたの夏は、ほんとうの夏よりも美しいものかもしれません。

―梅雨晴れやビルの狭間にマストの帆(間島あきら)

事務局だより(2015年5月20日)

5月の講演会では、コロンブスの航海、慶長遣欧使節、ハイティ革命、移民など多面的な時空間、ひとの交流のなかに浮かび上がるキューバの姿を示していただきました。次回6月は沖縄出身者で初の芥川賞作家、大城立裕の作品を文学社会学の視点から、作者とも親交のある講演者に分析してもらいます。沖縄をめぐる「ことば」のなかに立ち現れる沖縄とは、どんな姿なのでしょうか。
どうぞ奮ってご参加ください。

7月の講演会は第1土曜日4日午後4時からの開催となります。「1945年」をテーマに、会員有志の皆さまから、それぞれの「1945年」を語っていただく予定です。詳細は追ってお知らせいたします。


ことばは共同体のもっとも大切な支柱のひとつだろうと思います。70年前に終焉した国の体制のなかで、為政者はどのようにことばを使い、国民はそれをどう受けとめていたのでしょうか。今年6月、8月、沖縄と日本にそれぞれ70年目の終戦記念日がめぐってきます。

―さくらんぼことばをそっと置くやうに(吉野裕之)

第119回講演会のお知らせ

「大城立裕の文学と<沖縄>」
武山 梅乗 氏

日付: 2015年06月06日(土)
時間: 16:00 – 18:00
場所: 渋谷アイビスビル10階 (エレベータで9階へ上がり階段でお越しください)

講師プロフィール:
武山 梅乗(たけやま うめのり)
社会学者。駒澤大学、明治学院大学、都留文科大学等非常勤講師。
主たる研究テーマは戦後沖縄における文化表象で、大城立裕の作品や沖縄の同人誌の分析を通じて戦後における沖縄文学史の社会学的な解読を試みています。東日本大震災以降は「園芸福祉」にも目を向け、その「新しい社会運動」としての重要性に着目しながら、全国各地においてフィールドワークを継続しています。
著書:『不穏でユーモラスなアイコンたち―大城立裕の文学と<沖縄>―』(晶文社、2013年)。共著『社会学の扉をノックする』(学文社、2009年)、共編著『戦後・小説・沖縄』(鼎書房、2010年)。

講演要旨:
芥川賞作家、しかも「言語の七島難」があるがゆえに「文学不毛の地」といわれた沖縄の出身者で初の芥川賞作家である大城立裕は、文化的な特殊性や政治的な複雑性を内包する<沖縄>というテーマを、ヤマト(本土、日本)の読者がわかるようなテクストに翻訳することに努めてきた作家であるといえます。しかし、その立ち位置は大城を一方でヤマトの視線に従い、他方で日本の視線を拒否するというダブルバインド的状況に置き、その位置から創作される作品、あるいはそこから発せられた言説は、大城の意図とは切り離され、「日本を見る鏡」を経由するという屈折した読まれ方をされ続けました。この講演では、まず芥川賞が大城にもたらした苦悩について、芥川賞受賞作品である「カクテル・パーティー」(1967)の読まれ方をめぐる問題を中心に考えてみたいと思います。
また、小説「亀甲墓(かめのこうばか)」(1966)においては、沖縄の基層的文化をもっともよく表象している<オバァ>というキャラクターの造形に成功しながらも、大城の描く物語世界がポストコロニアル的な視点に欠けるうえに、平坦であまりにも構造的すぎるという評価をしばしば受けてきました。ところが、最近の大城作品には物語に不穏な空気を醸すキャラクター「不穏でユーモラスなアイコンたち」がしばしば登場します。この講演の後半では「不穏でユーモラスなアイコンたち」を起点とし、最近の大城作品を複数の声が輻輳するポリフォニックなテクストとして再読していこうと思います。

事務局だより(2015年4月22日)

前回の講演会では、3月にマルタ、キプロスの踏査旅行を終えたばかりの講演者から、まだまだ謎の多いフェニキア人の足跡を地中海に求め、発掘調査の現場や各地の遺跡の画像を交え、最新のお話しをうかがいました。
5月の講演会は、この4月にオバマ米大統領とカストロ現議長の59年ぶりになる首脳会談でクローズアップされた、カリブ海の社会主義国家キューバを取り上げます。講演者が4月に訪れた際の映像もお見せいただきながら、その歴史と直近の姿を語っていただきます。
どうぞ奮ってご参加ください。

6月の講演会は第1土曜日の6日の開催となります。沖縄のお話しを予定しています。詳細は追ってお知らせいたします。


4月は雨の多い不安定な天候に、不便を被られた方もおいと思います。それでも、深まる緑に、人も含めて新しい命の躍動が目に嬉しい季節です。どうぞ晴れ晴れとした黄金週間をお迎えください。

―遠足のおくれ走りてつながりし(高浜虚子)

第118回講演会のお知らせ

「変貌するキューバ ― 4月訪問の印象を踏まえて」
南塚 信吾 氏

日付: 2015年05月02日(土)
時間: 16:00 – 18:00
場所: 渋谷アイビスビル10階 (エレベータで9階へ上がり階段でお越しください)

講師プロフィール:
南塚 信吾(みなみづか しんご)
1942年、富山県生まれ。千葉大学・法政大学名誉教授、世界史研究所所長、歴史文化交流フォーラム理事長。専門は東欧史、世界史研究。世界史関係の主な著作に、『帝国主義の時代』(共著)講談社、『世界史辞典』(編集委員)角川書店、『アウトローの世界史』日本放送出版協会、『世界史なんていらない?』岩波書店などがある。

講演要旨:
1950年代末のフィデル・カストロやチェ・ゲバラに率いられた革命、さらに米ソが一触即発の事態に至った1962年のキューバ危機で、キューバが東西冷戦の極点の舞台となったことは、現代史上つとに名高い。その地の歴史と現在を、講演者が4月に訪れた際の印象を踏まえつつ紹介する。

事務局だより(2015年3月27日)

前回の講演会では、ハワイ諸島の歴史について、おもにクック来島以降の王国の消長を、国際関係(政治、交易、移民等)に軸を据えてお話しいただきました。列強に簒奪されていくハワイ王国の歴史をパノラミックに示していただきました。
4月の講演会は、古代地中海世界におけるフェニキア人の活動についてです。この3月にキプロスとマルタで調査をされたばかりの講演者から、新鮮なお話しを伺います。
どうぞ奮ってご参加ください。

5月は第1土曜日の2日の開催となります。キューバのお話しを予定しています。詳細は追ってお知らせいたします。


季節の境界は目に見えませんが、いつのまにか冬と春の狭間ではなく、春に居ることに気づかされるこの頃です。寒気和らいだ空気を呼吸すると、新しい命と生活への予感がふんわり胸に広がるようです。3月はお休みをいただいた講演会ですが、4月から気持ち新たに再開いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

―ほろ酔ひのあしもと軽し春の風(良寛)