事務局だより(2017年9月27日)

前回9月の講演会では、お二方からお話しを伺いました。まず津山の洋学者(蘭学者)の系譜と仕事を辿ってご説明がありました。続いて、幕末から明治期を代表する洋学者のひとり、箕作麟祥による『万国新史』の世界史叙述の特色についてお話しいただきました。また、具体例として、ヨーロッパ各地における「農民・農夫」の位置や動向に関する記述を取り上げ、維新後日本の地租改正の動きとの関連を想定するなど、当時にとっての現代世界史をめぐる該博な知識の源にあった状況へも迫っていただきました。

次回10月は、地域おこし協力隊員として、長野県阿南町で活躍されている方を講演者にお迎えします。地域に移住し、衰退が言われるようになって久しい地方の文化、第一次産業、住民の暮らしのなかにある豊かさや可能性を地元民とともに模索してきた、実践者としての立場からお話しいただきます。

どうぞ奮ってご参加ください。

11月の講演会は、11日(第2土曜日)の午後4時から開催予定です。今年はロシア革命100周年に当たりますが、映像論の立場からロシア革命に言及していただく予定です。また、講演会に先だって、本NPOの年次総会も開かれます。

詳細は追ってお知らせいたします。


 

雲が空の高みに遠のき、大気が鮮度を増していくようです。秋は、様々な音まで粒だって響くような気がします。街で山野で、静かに耳をすませたくなります。

―足音の正しく彼女秋日和(星野立子)

第144回講演会のお知らせ

魂の帰る場所 南信州和合地区~地域のこしの取り組み~

日付: 2017年10月14日(土)
時間: 16:00 – 18:00
場所: 渋谷アイビスビル10階 (エレベータで9階へ上がり階段でお越しください)

講師:
飯野悠子氏(集落支援員)氏
1983年生まれ。幼少期は父親の転勤により転々とするが、その後大学を卒業するまで東京で暮らす。大学時代、NGOのワークキャンプに参加し、初めての海外フィリピンへ。そこで出会ったキラキラした目を持つ大人たち。一般的には「貧困」と呼ばれる国で生き生きと暮らす人々に魅了され、長期休暇を利用してアジア・南米数ヶ国を旅する。旅が高じて、卒業後はタイで就職。日本語教師として5年半勤務したのち、なぜか帰国する。
「豊かな暮らし」を求め、2014年長野県阿南町和合地区に「地域おこし協力隊」として着任。現在、移住4年目。都会の生活とは180度異なる山ん中での暮らしを満喫中!

概要:
『東京発→アジア経由→ど田舎着』
放浪期間も経て、「地に足のついた生活を」と辿り着いた先は、長野県の南端「阿南町」の中でも、最も過疎高齢化の進む「和合地区」。人口175名、高齢化率(65歳以上)60%、小学校児童4名、スーパー・コンビニもちろんなし。訪れる人は「この道の先に本当に人が住んでいるの?」と不安になるような細く曲がりくねった谷底の道の先に集落が点在している。田畑や山からの恵みを受け、丁寧に暮らすお年寄りから学ぶ日本元来の姿や豊かさを紹介。
『全国各地で活動する地域おこし協力隊とは』
メディアでも頻繁に取り上げられるようになった「地域おこし協力隊」。その制度と活動事例、実際に活動する隊員、任期終了後定住した隊員の様子を紹介。
『人口176名の山間地域・和合地区の地域のこし』
日本各地で進む過疎高齢化。「人」によって受け継がれてきた地域性に富んだ文化・伝統が、今、消滅しつつある。和合地区もこの例外ではない。このまま、美しい文化・伝統が消えゆくのを眺めているだけで良いのか。「地域を残す」ための、和合地区での取り組みを紹介。