第113回講演会のお知らせ

「日蓮とその時代」
佐藤 博信 氏(千葉大学名誉教授)

日付: 2014年11月08日(土)
時間: 16:00 – 18:00
場所: 渋谷アイビスビル10階 (エレベータで9階へ上がり階段でお越しください)

講師プロフィール:
千葉大学名誉教授。中世東国の日蓮宗関係寺院、その建造物を中心に研究。著書に、『江戸湾をめぐる中世』(思文閣出版,2000)、『中世東国日蓮宗寺院の研究』東京大学出版会,2003)、『越後中世史の世界』(岩田書院、岩田選書「地域の中世」,2006 )、『中世東国足利・北条氏の研究』(岩田書店、「中世史研究叢書」,2006 )『中世東国政治史論』(塙書房2006)、『安房妙本寺日我一代記』(思文閣出版,2007)、『中世東国の権力と構造』(校倉書房,2013)などがある。

講演要旨:
鎌倉(新)仏教のなかで特異な位置を占めるのは、日蓮である。唯一の東国出身者であり、比叡山で学んだとはいえ、「田舎」と「海」をモットーとした宗教者であった。日蓮の生きた時代は、鎌倉幕府・執権政治が大きく転換して行く時代であった。それを象徴するのが、蒙古襲来であり国内の騒乱であった。それと決定的な意味を持った自然災害の頻発であった。日蓮は、鎌倉の名越で布教活動を行い、そのなかで渾身の力を込めて「立正安国論」を執筆し幕府に提出した。その生涯は、諫暁・折伏・法難そのものであった。その教えは、特に室町・戦国時代に列島規模に広まった。室町幕府と対決する日親や徳川家康と対決する日奥などを生んだ。われわれは、そうした大きな足跡を遺した日蓮とその時代から何を学ぶべきか。ここでは、特に「立正安国論」成立の直接的背景となった都市鎌倉とそこに住む人々に注目してみたい。題材は、「立正安国論」であり、また官撰史書「吾妻鏡」である。なお、わたしは、日蓮の研究者でもなければ宗教史・思想史の研究者でもない。歴史学徒として日蓮とその時代を学ぶという基本姿勢を堅持したい。

事務局だより(2014年10月28日)

前回10月の講演会では、ともに17世紀に急速な発展を遂げ、さらに港湾と運河の都市という共通性を持っていた東西二都市、アムステルダムと江戸の衣と食の商いをめぐってお話しいただきました。それぞれの食料市場と古着商の相違相同を、末端の商人から流通システム全体に渡って比較検証していただき、往時の市民町人の姿が彷彿としてくるようでした。講演後も活発な質疑応答が交わされました。
11月の講演会は、鎌倉仏教のひとつとして現在に至るまで大きな宗教的、文化的影響を持つ日蓮宗(法華宗)の宗祖、日蓮が生きた時代とその思想を育んだ背景についてお話しいただきます。
どうぞ奮ってご参加ください。

次々回は12月6日(土)の開催となります。オセアニアについての講演会を予定しております。詳細は追ってお知らせいたします。

11月8日(土)は講演会に先立ち、14時半より本NPOの通常年次総会が開かれます。会員の皆さまの参加をお待ちしております。


たびたびの南の海からの嵐が止んでほっとした途端、もう秋も半ばであることを朝夕のひんやりした空気に気づかされました。めぐる季節の足取りの速さと確かさには、せつなさとありがたさが入り交じったような気持ちを覚えます。日中の気温差の大きい時期です。皆さまどうぞご自愛ください。

―拾ひたる日向の栗のあたたかし(星野立子)