事務局だより(2017年1月18日)

1月の講演会では、幕末の侠客国定忠治の生涯と時代について、当時の資料をもとに検証しました。毀誉褒貶あって歴史上の位置づけは難しい存在ではあるものの、為政者側を含め同時代の少なからぬ人々が、お上に対抗する彼の振る舞いに語り伝えるべきものを感じていた点は確かなようです。まさにそこに、アウトロー史の意義を見出すことができるように思いました。

次回2017年2月の講演会では、長年インドでフィールドワークを重ねてきた講演者の方に、宗教都市ヴァラナシィの死と生、聖と俗が併存する空間について、また、そこに嫁いだ日本人女性たちの社会や家庭でのありかたに焦点を当ててお話しいただきます。

どうぞ奮ってご参加ください。

3月は講演会に代えて、エクスカーションを行います。3月4日(第1土曜日)午後3時から両国の史跡をめぐり、江戸東京博物館を見学する予定です。また、4月の講演会は、月後半の22日(第3土曜日)の午後4時からになります。

詳細は追ってお知らせいたします。


はや小正月も過ぎ、皆さまにおかれましては、あらたまの2017年を順調に漕ぎ出されたことと存じます。本年もどうぞ本NPOへのご支援ご叱咤をよろしくお願い申し上げます。

日足が伸びてきたとはいえ、寒さはむしろ厳しさを増す時期です。どうぞ体の内外を温めてお過ごしください。

―大寒やしづかにけむる茶碗蒸(日野草城)

第137回講演会のお知らせ

ヴァラナシィにおける信仰

日付: 2017年2月11日(土)
時間: 16:00 – 18:00
場所: 渋谷アイビスビル10階 (エレベータで9階へ上がり階段でお越しください)

講師:
宮崎 智絵氏 (二松学舎大学)
専門は宗教社会学、比較文化、比較宗教。インドの宗教と社会を中心に研究。立正大学文学部助手を経て、立正大学・二松学舎大学・日本大学理工学部で講師。インドのヴァラナシィをいろいろな視点で調査している。論文に「インドにおける日本人女性の結婚とコミュニケーションの行為選択」(二松学舎大学国際政経論集第19号)「インドにおける宗教的マイノリティと日本人女性の結婚」(二松学舎大学論集59号)などがある。

概要:
インドにおいてヒンドゥー教は、カースト制度など社会制度や日常生活にも深く根を下ろしており、80%近くの人々が信仰している主要な宗教です。そこでヒンドゥー教の聖地として有名なヴァラナシィについて、現地調査をもとに信仰の実態についてご紹介します。ヴァラナシィは、マニカルニカーガートを中心とした死、ダサシュワメードガートを中心とした生の機能をもつとともに、三つの巡礼路による聖域とが重なった多重構造の宗教都市です。さらに、日常の生活の場として俗なる空間でもあります。巡礼者にとっての聖地と居住者にとっての日常とが共存している都市なのです。また、このようなヴァラナシィにインド人と結婚して居住している日本人女性へのインタビューを通して、インドの社会や信仰、あるいはどのようにインドに同調、差異化しているのかについて紹介したいと思います。