事務局だより(2017年8月30日)

前回7月の講演会では、西洋列強によって開港を強いられながら、その歴史的経緯に負の感情を抱く上海市民に対し、横浜では一般に肯定的受け止められてきた相違がどこにあるのか、日米交渉の展開を検証しながら語っていただきました。また、古地図や浮世絵を用いた現代横浜との対比も、その飛躍的発展の様子を具体的に知る上で興味深いものでした。

次回9月は、江戸期の洋学(蘭学)の伝統とその成果を、特に美作国津山藩(現在の岡山県津山市)から出た二家を取り上げてお話しいただきます。講演は、津山市の資料館にも足を運ばれ、また箕作麟祥の『万国新史』の翻刻を進めている本NPOの理事長ならびに副理事長のお二人からそれぞれ伺います。

どうぞ奮ってご参加ください。

10月の講演会は、14日(第2土曜日)の午後4時から開催予定です。長野県下伊那郡阿南町の町おこしの活動についてお話しを伺う予定です。11月は100周年を迎えるロシア革命をめぐって講演いただきます。

詳細は追ってお知らせいたします。


全国的に天候の不順な夏でした。関東以北は梅雨と真夏が逆転したようなおかしな陽気が続き、人も農作物も健やかな時の流れを損なわれたような印象です。それでも、雨雲の下を軽やかに走り、かき氷に歓声をあげる子供たちにとって、夏休みの輝きは失われなかったようでした。老若男女に豊穣な秋が訪れますように。

―夏休み終え静けさや寂しさや(佐々木なつ)

第143回講演会のお知らせ

黒田忠男氏(歴史文化交流フォーラム副理事長)
「津山の洋学の軌跡をたどる─宇田川家、箕作家を中心にして─」
南塚信吾氏(歴史文化交流フォーラム理事長)
「箕作麟祥『万国新史』のできるまで」

日付: 2017年9月16日(土)
時間: 16:00 – 18:00
場所: 渋谷アイビスビル10階 (エレベータで9階へ上がり階段でお越しください)

概要:
西洋各国のアジア進出が盛んになるにつれ、江戸末期の日本ではヨーロッパの進んだ自然科学のみならず、彼の地の歴史や政治経済についても熱心に学ばれるようになった。現在、本NPO付属の世界史研究所で翻刻を進める『万国新史』の著者箕作麟祥も、幕末から明治初期を代表するそのような洋学者のひとりである。講演では、まず、箕作が属した津山藩の洋学の伝統を、津山洋学資料館等の資料をもとに紹介する。さらに、明治初期に刊行された『万国新史』の意義について、その成立過程と内容を検証しながら考えてみたい。

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