事務局だより(2019年4月26日)

 4月の講演会では、近年深刻な課題として浮上してきたマイクロプラスチック問題をはじめとして、日本が抱えるゴミと環境の問題一般について、リサイクルのあり方やゴミ処理施設の現況等々、講演者独自の取材に基づいて詳しくご説明いただきました。我々が日々排出しながら無頓着になりがちなゴミの行方を、正確に把握し、社会に伝えようとする講演者のジャーナリストとしての使命感に圧倒されるお話しでした。
 次回5月は、この春にインドとネパールを視察してきた講演者の方から、両国それぞれの歴史的発展や関係、現況について語っていただきます。
 どうぞ奮ってご参加ください。

 6月はいつもの渋谷の講演会場を離れ、歴史や文化の現場を訪れるエクスカーションを行います。以前に、同様の試みを横浜と東京両国で行い好評を得ましたが、今回は埼玉県の川越へ赴く予定です。第2土曜日の8日に開催いたします。また、7月の講演会では、北東アジアにおけるユダヤ人をテーマにお話しいただきます。
 詳細は追ってお知らせいたします。


 5月の大型連休は一大行楽シーズンでもあれば、田植えの時期でもあります。長く海外で遊民生活をしていたころ、たまたま出会った同胞たちに、心に浮かぶ故国の風景について尋ねてみたことがありました。もっとも多く得た返答が「水田」でした。青々とした稲を立ち並べて平らかに広がる水田には、都市出身者まで含めて、我々の郷愁を誘ってやまない原風景があるのかもしれません。

―さをとめのあやめを抜て戻りけり(正岡子規)

第162回講演会のお知らせ

「旅から見るインドとネパール」

日付: 2019年5月11日(土)
時間: 16:00 – 18:00
場所: 渋谷アイビスビル10階 (エレベータで9階へ上がり階段でお越しください)

講師:
宮崎 智絵(みやざき ちえ)氏

講演者プロフィール:

宮崎智絵氏(大学講師)
専門は宗教社会学、比較文化、比較宗教。インドの宗教と社会を中心に研究。立正大学文学部助手を経て、立正大学・二松学舎大学・日本大学理工学部で講師。インドのヴァラナシィをいろいろな視点で調査している。論文に「インドにおける日本人女性の結婚とコミュニケーションの行為選択」(二松学舎大学国際政経論集第19号)「インドにおける宗教的マイノリティと日本人女性の結婚」(二松学舎大学論集59号)などがある。

概要:
2月から3月にかけてインド・ネパールを旅した。広大なインドは一部しか行けなかったが、長年、インドを旅してきたからこそ見えてくる風景がある。まず、インドを旅する日本人の変化である。ひと昔前までインドは、世界中を旅したバックパッカーが最後に来るところであった。そして、古くは三島由紀夫、次に藤原新也、沢木耕太郎、小林紀晴等の作品に刺激されてインドに来た。さらに番組の企画でユーラシア大陸を横断した猿岩石のマネをしてインドを旅する大学生が急増した。だが、近年は内向きの学生が多く、危険を犯してまで旅する意味を見出せない学生はインドにあまり来なくなった。その間、インドは経済封鎖からBRICsの一員として目覚ましい経済発展をしている。また、ネパールは、昔はインドを旅する人が疲れを癒すところであり、ネパールで英気を養い、再びインドに挑戦するところであった。しかし、ネパールは王制から民主主義へと変わり、混乱し、政治的には不安定な時期が続いた。このように変化してきたインドとネパールについて旅人という視点からご紹介したいと思う。