事務局だより(2019年6月21日)

 5月の講演会では、まずインド独立(1947)後の政権や経済政策の推移、印パ問題の大きな流れをご説明いただきました。さらに、講演者ご自身が多年に渡って撮りためた写真やビデオをもとに、移り変わる(あるいは変わらぬ)街や人の姿を重層的に示して貰いました。また、やはりこの3月に講演者が訪問された、日本ではあまりよく知られていないネパールの民主化運動の情報や、2015年の地震以降の様子も興味深くうかがいました。
 6月は通常の月例講演会にかえて、川越へのエクスカーションを実施いたしました。現地在住の本NPO会員によるご案内で、川越祭り会館や喜多院に加え、遊郭跡、お菓子屋だった古民家の内部など、一味違った小江戸探索を楽しみました。
 次回7月は、あまたあるユダヤ史研究のなかでも、数少ない東アジアのユダヤ人をテーマにお話を伺います。
 どうぞ奮ってご参加ください。
 8月は事務局の夏休みのため、講演会はお休みさせていただきます。次回は9月14日(土)16時から、箕作麟祥『萬國新史』の翻刻をめぐってお話しいただく予定です。
 詳細は追ってお知らせいたします。


 梅雨のさなか、重く水分を含んだ空気がからだに浸み込んで、汗に変わっていくような錯覚をおぼえます。夏の本番はまだ先ですが、そろそろ水辺や涼を楽しむ食が慕わしい季節です。体調を整えて、暴発する夏の光にそなえたいものです。

―清滝の水汲みよせてところてん(松尾芭蕉)

第163回講演会のお知らせ

「ユダヤ史のなかの東アジア」

日付: 2019年7月13日(土)
時間: 16:00 – 18:00
場所: 渋谷アイビスビル10階 (エレベータで9階へ上がり階段でお越しください)

講師:
丸山 直起(まるやま なおき)氏

講演者プロフィール:
丸山直起(まるやま なおき)氏
 1942年長野県生まれ。一橋大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。法学博士。小樽商科大学、国際大学をへて明治学院大学法学部勤務。明治学院大学名誉教授。
 専門は国際政治学。著書に『ホロコーストとアメリカ』(みすず書房、2018年)、『太平洋戦争と上海のユダヤ難民』(法政大学出版局、2005年)など。

概要:
 ユダヤ人、シオニズムそれにイスラエルに関して書かれた歴史書において東アジアが言及されることはほとんどない。欧米の多くの研究者が歴史の舞台に取り上げるのは地中海地域やヨーロッパである。たしかに東アジアのユダヤ人人口は無視しうるほどであり、ユダヤ人の運命を決めた重大事件はヨーロッパおよびその周辺で起きている。だが、東アジアは軽視されていい地域かというとそれは間違っている。強調したいことは、近代ユダヤ史のなかで東アジア、とくに中国や日本の重要性にもっと光があてられるべきであろうという点である。
 この視点からユダヤ人と中国、日本を中心とする東アジアとのかかわりについて、つぎの時期にわけて報告したい。
1 日露戦争期
2 第一次世界大戦期
3 ホロコースト期
4 戦後期

シリーズ「日本の中の世界史」の紹介

岩波書店のシリーズ「日本の中の世界史」の刊行が進み、今月までに全巻の刊行が終わる運びとなりました。ここに改めて紹介いたします。なお、世界史研究所にお申し込みいただきますと、著者を通じての購入の形をとることが可能です。