事務局だより(2016年12月21日)

12月の講演会では、一般に鎖国の時代とされる江戸期において、琉球王国が公式に行っていた交易に由来する薬種や海産物などのモノの流通について、さらに、八重山諸島で行われてきた独特な稲作文化について、貴重な図絵をもとにお話しいただきました。歴史を見る視野が広まる驚きを、心地よく堪能できる集いとなりました。

次回2017年1月の講演会では、幕末の博徒、国定忠治を取り上げます。重罪犯として磔刑に処せられたアウトローでありながら、後年、大衆文化の中で義侠の人と標ぼうされるようになった忠治を、彼の生きた時代と地域の中で見つめ直します。どうぞ奮ってご参加ください。

次回講演会は、2月11日(第2土曜日)午後4時から、インドのお話を伺います。講演者は、近年、インドに嫁ぎ異文化を生きる日本女性たちについて現地調査を続けています。

詳細は追ってお知らせいたします。


本年中は、月例講演会や海外交流事業を始め、さまざまな場で歴史文化交流フォーラムを支えていただき、ありがとうございました。

揺れ続ける世界は、ポピュリズムや他者への排除意識が高まり、ますます不穏です。それでも、年末年始は新しい年への期待に温まりつつ過ごしたいものです。どうぞ、皆さま、よいお年をお迎えください。

―下駄買って箪笥の上や年の暮れ(永井荷風)

第136回講演会のお知らせ

幕末・上州・国定忠治

日付: 2016年1月14日(土)
時間: 16:00 – 18:00
場所: 渋谷アイビスビル10階 (エレベータで9階へ上がり階段でお越しください)

講師:
木村英明(きむらひであき)氏(歴史文化交流フォーラム会員)

概要:
幕末には無宿人一般を指すものとして「上州無宿人」という表現が広まるほど、上州からは人別を外れて無職のままさ迷う渡世人が輩出しました。なかでも、その行動が幕藩体制に対する反逆の色合いを強くおび、公儀が長年追い続けた存在が国定忠治でした。忠治が生きたのは、天保の大飢饉、大塩平八郎の乱、蛮社の獄、アメリカやフランスなど外国船の来航、天保の改革の失敗、そして鼠小僧の暗躍など、傾きつつある徳川幕府の姿が露わになった時代でした。
上州地域の代官も務めた、水野忠邦の英吏、羽倉外記による基礎資料『赤城録』をはじめ、当時の古文書を参考にしながら、忠治の存在がその時代に占めた意味を考えたいと思います。