事務局だより(2016年3月23日)

3月の月例講演会では、260有余年に及んだ江戸の時空間の変遷と生活形態の変化を中心に、瓦版や番付を含む豊富な資料をもとにお話しいただきました。幕令と思われていた慶安御触書や身分制など、一般に流布する知識と事実の相違についてもご説明を受け、あらためて歴史研究の意義と面白さに目を見開かされました。
次回4月は、能楽について、みずから観世流で学ばれ、演じられている講演者を迎えてお話を伺います。
どうぞ奮ってご参加ください。

次回講演会は、5月14日(第2土曜日)午後4時からの開催です。日本人ディアスポラとして、新たな視野からの捉え方が進む中南米移民についてお話しいただく予定です。詳細は追ってお知らせいたします。


花の季節が近づいてまいりましたが、寒さの朝夕が繰り返し戻ってくる時期でもあります。油断せず、心身を春に向けて開いてゆきたいと思います。

―おととひはあの山こえつ花盛り(向井去来)

第128回講演会のお知らせ

『初心忘るべからず~能楽の世界』

日付: 2016年4月9日(土)
時間: 16:00 – 18:00
場所: 渋谷アイビスビル10階 (エレベータで9階へ上がり階段でお越しください)

講師:
小笠原將夫(おがさわらまさお)氏

講演者プロフィールと講演の概要:
このたびは、偶々私が、当フォーラムの黒田忠男副理事長の、大学・勤務先ともに1年後輩というご縁で、卓話を仰せつかりました。
私は杉並区の育ちですが、実家は神田神保町の古本屋で、現在は小売業から仲卸業に転換し駿河台で営業中。
父親の趣味が歌舞伎、長唄だった影響で、幼児から周囲に邦楽があり、大学時代は尺八部に在籍。洋の東西を問わず古い音楽が好きで、洋楽ではバッハを好んで聴きます。
今回は「初心忘るべからず」という題で、いまどきあまり流行らない能の世界について、まさに初心者の私が、食わず嫌いの方にも少し興味を持っていただければというスタンスで、やや楽屋話的なお話をいたします。
話の構成は、「趣味としての能/ドラマとしての能/能を演じる人たち/能とオペラの比較/能のユニークな点/世阿弥という天才/能をどう見るか」というところです。
2時間ほどの拙い卓話を通じて、私がお伝えしたいことは、世阿弥が大成した能の世界は、600年の時代を超えて、現代でも人の考え方、生き方に応用できる優れた芸術観・人生観であるということです。
まことにお恥ずかしい内容ではありますが、これを機に本物の能、世阿弥に触れてみようかと思っていただければ何より幸いと存じます。(講演者記)