事務局だより(2016年11月30日)

11月の講演会では、現在の韓国が直面する国内的、対外的諸問題(朴大統領をめぐるスキャンダル、対日本、対北朝鮮等)について、政治経済の歴史を踏まえつつ、将来への展望も含めてお話しいただきました。日本の現在の問題点も映し出されて、我が身を振り返る機会も与えられました。

次回12月講演会では、八重山研究をご専門とする講演者から、沖縄の農業作物を中心に、外来と内在が混交する、その独自な地理的文化的位相についてご紹介いただきます。

どうぞ奮ってご参加ください。

次回講演会は、1月14日(第2土曜日)午後4時から、侠客国定忠治を取り上げ、その反逆の姿勢が幕末社会において意味していたものについて考えます。次々回は2月11日(第2土曜日)午後4時から、インドに嫁いだ日本女性たちについて現地調査を続けている講演者からお話を伺う予定です。

詳細は追ってお知らせいたします。

12月講演会終了後、忘年会を催します。詳細は、こちらをご覧ください。


師走を前に、関東の平野部にも1か月以上早い初雪が舞いました。短日の陽だまりに、命の愛おしさがとりわけ深く感じられる季節になりました。行く年の最終月を健やかにお過ごしください。

―谷々の家々にある冬日かな(高浜虚子)

第135回講演会のお知らせ

近世琉球の生活史―内在する文化/外来の文化―

日付: 2016年12月17日(土)
時間: 15:00 – 17:00 (いつもより、開始が1時間早いことにご注意ください。)
場所: 渋谷アイビスビル10階 (エレベータで9階へ上がり階段でお越しください)

講師:
得能壽美(とくのうとしみ)氏(法政大学)
琉球史、とりわけ八重山の歴史研究を専門とする。出版社勤務ののち、石垣市教育委員会職員(石垣市立八重山博物館・市史編集課)。現在は千葉県在住、大学講師のほか、石垣市史編纂などにあたる。著書は『近世八重山の民衆生活史―石西礁湖をめぐる海と島々のネットワーク―』ほか、沖縄県史、石垣市史、竹富町史、与那国町史などの近世部分を執筆。

概要:
琉球・沖縄の歴史を知るための史料は、戦争(1609年島津侵攻+沖縄戦)、世替わり(琉球処分)、あるいは自然環境や災害により多くが失われましたが、個人および県史や各市町村史などによる掘り起こしがあり、近年では王家である尚家文書や台湾大学所蔵史料などが公開されています。そういった歴史史料を中心に、島々に内在する文化と外来の文化という視点から、琉球・沖縄の生活史を考えてみたいと思います。
外来の文化では、たとえばサツマイモ・サトウキビは琉球・沖縄に古くからある作物ではなく、近世になって中国から導入したもので、琉球での栽培は住民の生活に大きな影響を与えたのですが、琉球を経由してヤマト(日本)にも広がって重要な作物になりました。
内在する文化は、自立にかかわるもので、事例のひとつは日本最西端の与那国島における水田稲作の展開について紹介したいと思います。