事務局だより(2019年3月27日)

 3月の講演会では、沖縄金武湾の石油備蓄基地建設に抗して起こった市民運動について、映像をはじめ貴重な資料をもとに解説していただきました。「戦場難民」であった地元民が「基地難民」となって再び居場所を奪われていく歴史のなかで、金武湾闘争が持つ意義を、個々人と運動体との結節やそのあり方の漸次的変化といった、市民運動の本質的な部分まで踏み込んでお話しいただきました。講演後の質疑応答では、当時の中東やベトナム戦争の情勢と石油備蓄基地の関連など、世界史的な広がりに発展する議論が展開されました。
 次回4月は、世界中で大きな環境汚染問題として騒がれ始めたマイクロプラスチックがテーマです。核のゴミをはじめ、人間の排出する様々な種類のゴミが生態系をこれほどまでにおびやかしている時代はありません。その中でも、マイクロプラスチックの問題が我々の耳目に触れるようになったのはごく最近のことであり、その実態や問題点について、まだ我々の多くはあまり分かっていないのが実情です。次回講演会では、環境問題を探求してこられたジャーナリストの方をお迎えして、詳しくお話を伺います。
 どうぞ奮ってご参加ください。
 5月の講演会は11日(第2土曜日)に開催します。著しい経済発展で世界の注目を浴びるインドですが、多民族多宗教の複雑な社会でも知られています。この春にインドに調査に赴かれた講師をお迎えし、各宗教の聖地を紹介していただきながら、現代インド社会における宗教の影響を中心に、新鮮な情報を提供していただく予定です。
 詳細は追ってお知らせいたします。


 桜開花の便りが関東地方や西日本を中心に列島を華やがせています。桜花には去年の花、あの時の花、そしてやがて来る年の花と、年末年始にも劣らず歳月を意識させる不思議な力が備わっているように思えます。花のもと、特別なひと時をお過ごしください。

―散る桜残る桜も散る桜 (良寛)

第161回講演会のお知らせ

「プラスチック問題の真実-マイクロプラスチックによる海洋汚染と、中国の廃プラ輸入禁止の影響-」

日付: 2019年4月13日(土)
時間: 16:00 – 18:00
場所: 渋谷アイビスビル10階 (エレベータで9階へ上がり階段でお越しください)

講師:
杉本 裕明(すぎもと ひろあき)氏

講演者プロフィール:
杉本裕明 氏
1954年生まれ。朝日新聞記者を経て、フリージャーナリスト。環境問題を中心に取材・執筆活動。著書に『ルポ にっぽんのごみ』(岩波書店)『ディーゼル車に未来はあるかー排ガス偽装とPM2.5の脅威』(同、共著)、『環境省の大罪』(PHP研究所)、『赤い土(フェロシルト) なぜ企業犯罪は繰り返されたのか』(風媒社)など多数。NPO法人未来舎代表理事。

概要:
最近、マスコミを騒がせているマイクロプラスチックによる海洋汚染問題。プラ製のストローを禁止したり、環境省が、プラスチック対策の戦略を策定したりしているが、これで問題は解決するのか。一方で、昨年から血中国が廃プラスチックの輸入禁止措置をとり、年間150万トン輸出していた廃プラは行き場がなくなり、国内各地に廃プラの山が顕在化。不法投棄が懸念されている。身近なプラスチックとどう付き合ったらいいのか。国や業界の動きを、歴史を踏まえながら解説する。