事務局だより(2018年8月29日)

前回7月の講演会では、水を用いた最先端技術をめぐってお話を伺いました。柔軟で変化自在な水を強剛なパワーに変えて、食品から建築・土木、乗り物、原発処理にいたる様々な領域で応用していく目覚ましい技術力と、その開発に注ぐ情熱を熱く、かつ分かりやすくご教示いただきました。
次回講演会では、講演者が7月に視察した中国東北部から、今回は特にハルビンを取り上げて、旧満州と戦争の史跡の様態を現代の動勢を踏まえつつお話しいただきます。
どうぞ奮ってご参加ください。

8月は夏休みのため、講演会はお休みをいただきました。9月から再開し、実りの秋に充実したひと時を皆様にお過ごしいただけるように努めて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。10月は20日(第3土曜日)に、9月講演に引き続いて、中国東北部の瀋陽と大連についてお話しいただきます。
詳細は追ってお知らせいたします。


夏との別れは若い日々との別れと、思いが重なります。この夏、幾人かの親しい人が去っていきました。ともに愛おしい時を過ごしてくれたことに深く感謝しつつ、心から哀悼の意を表します。

―またひとつ旅を終えたる晩夏かな(稲畑汀子)

事務局だより(2018年6月24日)

前回6月の講演会では、ドイツ表現主義やウィーン分離派の流れを汲むクロアチア出身の彫刻家メシュトロヴィチと、その芸術思潮ならびに表現に影響を受けたと目される日本の三人の彫刻家の作品を比較検討していただきました。また、戦争と芸術という視座から、芸術が持つ社会性の一筋縄にはいかない問題を提起されました。
次回7月の講演会では、水を利用した多面的な技術開発を進めると同時に、福島原発の事故処理でも活躍されている水技術のエキスパートをお招きしてお話しをうかがいます。
どうぞ奮ってご参加ください。

8月は事務局が夏休みのため、講演会もお休みいたします。9月は第2土曜日に旧満州の過去と現在について、実際の旅の記録をもとにお話しいただきます。
詳細は追ってお知らせいたします。


夏を呼ぶ雨の季節がまだ続いています。雨に煙る水面の向こうから来る夏の海の色が、深く皆さまの記憶にとどまるようなものになりますように。

―砂浜に棒ひとつ立て梅雨明けぬ(平井照敏)

事務局だより(2018年5月28日)

前回5月の講演会では、三河・遠江・南信の県境を越えた地域連携の歩みと現在について、同連携会議の新ビジョン策定委員を務める講演者からお話を伺いました。行政の枠を超えることの意義と可能性、またその困難をも率直に語っていただきました。終始、地域に注がれる講演者の温かい眼差しが感じられて、住んだことのない土地に郷愁を誘われるような思いでした。
次回6月の講演会では、旧ユーゴスラヴィアを代表する彫刻家メシュトロヴィチと日本の彫刻家団体「構造社」の芸術思想に見られる共通の志向性に焦点を当てつつ、両国の芸術と社会を社会史の視座からお話いただきます。
どうぞ奮ってご参加ください。

7月の講演会は、14日(第2土曜日)になります。富山県に拠点を置く「スギノマシン」から水関連技術の専門家をお招きし、福島原発の水処理を含め、水にまつわるテーマでお話しいただく予定です。
詳細は追ってお知らせいたします。
8月は夏休みのため、講演会はお休みいたします。


日に日に蒸し暑さが増してきました。雨雲が山の果て、ビルの彼方まで遠く覆う季節が目前に迫っています。水に濡れた草花や街路、雨音をはじかせる家々のたたずまいも、ときに親しみたい風物です。

―都電に乗る梅雨の巷のしたしさに(中村草田男)

事務局だより(2018年4月25日)

前回4月の講演会では、戦前の沖縄庶民の日常を切り取った貴重な写真をもとに、失われた民俗文化や生活形態について解説いただきました。知られざる生活の形はもとより、図像で見る歴史の、実りあるアプローチ例としても興味深いお話しでした。
次回5月の講演会では、県の中心地域から離れた、三県にまたがる地域が始めた総合的な協力関係の模索についてお話しいただきます。
どうぞ奮ってご参加ください。

6月の講演会は、9日(第2土曜日)になります。日本の美術運動にも影響を及ぼしたクロアチアの彫刻家、メシュトロヴィチをめぐってお話しいただく予定です。
詳細は追ってお知らせいたします。7月講演会は14日(第2曜日)開催の予定です。「水」技術の専門家をお呼びします。


もくもくと湧き上がるような新緑の厚みに、圧倒的な自然力を感じさせられます。自然のささやかな一部としての人の暮らしを自覚する楽しさが、四季のなかでも高まる頃でしょうか。

―緑葉を敷いて楚々たり初鰹(三橋鷹女)

事務局だより(2018年3月22日)

 

前回3月の講演会では、色丹島を中心に北方領土の現況についてご紹介いただくと同時に、行政や学校の現場における北方領土問題への取り組みとその問題点について詳しくお話しいただきました。国境や領土の概念、国際政治上の実践をめぐっても、質疑応答で熱心な議論が交わされました。
次回4月の講演会では、戦前、1935年の沖縄の庶民生活を写した貴重な写真をもとに、その民俗文化に光を当てていただきます。
どうぞ奮ってご参加ください。

5月の講演会は、26日(第4土曜日)になります。県境を越えた地域協力を進める三河(愛知県東部)と遠江(静岡県西部)と南信(長野県南部)、いわゆる三遠南信の取り組みについてお話しいただきます。6月は、日本の美術運動にも影響を及ぼしたクロアチアの彫刻家、メシュトロヴィチをめぐってお話しいただく予定です。
詳細は追ってお知らせいたします。


とりわけて厳しかったこの冬の寒さを忍んできた桜のつぼみが、かえってそれゆえに早くほころびはじめています。それぞれが抱く思いや希望の種子もまた、麗しく花開く春となるように願います。
まもなく3月ですが、講演会のある弥生3日は、副理事長として本NPOの発展に尽力された橋爪啓二さんの命日にあたります。春の到来は、別れの季節でもあることがせつなく想起されます。

―くるしくて はるかのはな は ひらくかな(野田誠)

事務局だより(2018年2月21日)

 前回2月の講演会では、アメリカ合衆国から中国に渡った女性宣教師の日記や回想録などのエゴ・ドキュメントに基づき、20世紀初頭の「新しい女」が持った歴史的、社会的、国際的意味についてお話しいただきました。質疑応答では、歴史研究の方法論をめぐっても、活発な議論が交わされました。
 次回の講演会では、昨年北方領土(南千島)を訪問された講演者から、現在の現地の様子と領土をめぐる日ロ間の問題について、加えてソ連・ロシアの現代史にも言及いただきます。
 どうぞ奮ってご参加ください。

 4月の講演会は14日(第2土曜日)になります。朝日新聞の倉庫で発見された、沖縄の戦前の写真を素材に、沖縄の歴史や文化についてお話しいただきます。
 詳細は追ってお知らせいたします。


 真冬の寒気が行きつ戻りつする日々が続いています。ただ、雲のあわいから落ちる光さえ、徐々に春の明るさをまといつつあるように感じるこの頃です。
 まもなく3月ですが、講演会のある弥生3日は、副理事長として本NPOの発展に尽力された橋爪啓二さんの命日にあたります。春の到来は、別れの季節でもあることがせつなく想起されます。

―友情に悔いを残さず弥生尽く(阿部みどり女)

事務局だより(2018年1月24日)

 前回1月の講演会では、日本企業の駐在員として、家族と住みついたケニアの生活体験を当時の写真を交えながらお話しいただきました。高度経済成長期を経て、海外、特に発展途上の国々に進出していった企業人の公私の情景を興味深く拝聴しました。
 次回の講演会では、海外に渡ったアメリカの女性宣教師たちの日記や書簡といった個人的文書を踏まえながら、従来の大きな枠組みとは異なる相貌のもとに、国民や国家間の歴史についてご考察いただきます。

 3月の講演会は3日(第1土曜日)になります。北方領土(南千島諸島)をめぐるお話を伺う予定です。また、4月のテーマは沖縄です。
 詳細は追ってお知らせいたします。


 本年も皆さまのご指導ご鞭撻を請いつつ、本NPOを運営してまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 大寒以降、例年に比べても冷え込みの厳しい日が続いています。健康にご配慮しつつ、歳寒の生活をお楽しみください。

―雪をよろこぶ児らにふる雪うつくしき(山頭火)

事務局だより(2017年12月26日)

前回12月の講演会では、イタリア南ティロールの伝統文化団体「射撃協会」の活動に焦点を当て、国境によってオーストリアと分断されたドイツ系住民の政治的主張の様相を、同地域が歩んだ歴史的経緯を踏まえつつご説明いただきました。
新年1月は、ケニアに駐在経験のある講演者をお迎えし、映像を交えながら現地の人と生活についてお話を伺う予定です。
どうぞ奮ってご参加ください。

2月の講演会は、10日(第2土曜日)に開催予定です。ジェンダーを通してアメリカ史や米中関係を研究されている講演者からお話を伺う予定です。3月は北方領土(南千島)についての講演会を予定しています。
詳細は追ってお知らせいたします。


2017年も皆さまの温かいご支援を受けて、滞りなく本NPOを運営することができました。心より御礼申し上げます。くる年が皆さまにとって豊かな心身の日々と充実の時をもたらしてくれますことを願ってやみません。

―何かしら遠く遠くと年暮るる(富安風生)

事務局だより(2017年11月23日)

前回11月の講演会では、ロシア革命100周年を踏まえて、表象としての革命を映像論の立場から検証していただきました。革命そのものよりも、革命にともなって起こった内戦が、赤軍・白軍の立場の是非を越えて、いかに国民に痛ましく記憶されてきたかを改めて認識させられました。
次回12月は、オーストリアとイタリアの国境にまたがるティロール(チロル)地方をめぐってお話しいただきます。国境に分断された人々の歴史と現在について伺います。
どうぞ奮ってご参加ください。

年明け1月の講演会は、14日(第2土曜日)に開催予定です。東アフリカのケニアを中心としたお話を予定しています。2月はアメリカ史ご専攻の講演者からお話を伺う予定です。
詳細は追ってお知らせいたします。
  


晩秋の手続きを踏まずに、季節がぽんと冬へ飛び移ってしまったようです。冷え込む日が続きますが、師走を前に風邪を召しませんように暖かくお過ごしください。

―木枯らしに真珠の如きまひるかな(川端茅舎)

事務局だより(2017年10月26日)

 前回10月の講演会では、南信州の阿南町和合地区に移り住み、集落支援員として「地域のこし」のために奮闘する講演者をお迎えしました。都市中心のグローバル化が地方社会を置き去りに進むなか、村落の丁寧な暮らしと、住民が伝承する生活に密着した文化の豊かさを活き活きと語っていただきました。東京在住の阿南長出身者の皆様にお集まりいただけたことも、大きな喜びでした。
次回11月は、ロシア革命から100年を迎えることから、ロシア映画を専門とする講演者をお迎えして、映像論の視野からロシア革命を論じていただきます。
どうぞ奮ってご参加ください。

12月の講演会は、16日(第3土曜日)に開催予定です。南チロルを中心としたお話を予定しています。講演会終了後には、恒例となっている忘年会を催します。こちらも奮ってご参加ください。
詳細は追ってお知らせいたします。


行楽シーズンを迎えながら、あいにく天候に恵まれない秋の日々です。ただ地域によっては、五色霜林を迎えるのはまだこれから。柔らかな秋の日差しが戻り、皆さまが穏やかな時を楽しまれますように。

―秋の暮川の向うに子守唄(秋元不死男)