事務局だより(2017年9月27日)

前回9月の講演会では、お二方からお話しを伺いました。まず津山の洋学者(蘭学者)の系譜と仕事を辿ってご説明がありました。続いて、幕末から明治期を代表する洋学者のひとり、箕作麟祥による『万国新史』の世界史叙述の特色についてお話しいただきました。また、具体例として、ヨーロッパ各地における「農民・農夫」の位置や動向に関する記述を取り上げ、維新後日本の地租改正の動きとの関連を想定するなど、当時にとっての現代世界史をめぐる該博な知識の源にあった状況へも迫っていただきました。

次回10月は、地域おこし協力隊員として、長野県阿南町で活躍されている方を講演者にお迎えします。地域に移住し、衰退が言われるようになって久しい地方の文化、第一次産業、住民の暮らしのなかにある豊かさや可能性を地元民とともに模索してきた、実践者としての立場からお話しいただきます。

どうぞ奮ってご参加ください。

11月の講演会は、11日(第2土曜日)の午後4時から開催予定です。今年はロシア革命100周年に当たりますが、映像論の立場からロシア革命に言及していただく予定です。また、講演会に先だって、本NPOの年次総会も開かれます。

詳細は追ってお知らせいたします。


 

雲が空の高みに遠のき、大気が鮮度を増していくようです。秋は、様々な音まで粒だって響くような気がします。街で山野で、静かに耳をすませたくなります。

―足音の正しく彼女秋日和(星野立子)

事務局だより(2017年8月30日)

前回7月の講演会では、西洋列強によって開港を強いられながら、その歴史的経緯に負の感情を抱く上海市民に対し、横浜では一般に肯定的受け止められてきた相違がどこにあるのか、日米交渉の展開を検証しながら語っていただきました。また、古地図や浮世絵を用いた現代横浜との対比も、その飛躍的発展の様子を具体的に知る上で興味深いものでした。

次回9月は、江戸期の洋学(蘭学)の伝統とその成果を、特に美作国津山藩(現在の岡山県津山市)から出た二家を取り上げてお話しいただきます。講演は、津山市の資料館にも足を運ばれ、また箕作麟祥の『万国新史』の翻刻を進めている本NPOの理事長ならびに副理事長のお二人からそれぞれ伺います。

どうぞ奮ってご参加ください。

10月の講演会は、14日(第2土曜日)の午後4時から開催予定です。長野県下伊那郡阿南町の町おこしの活動についてお話しを伺う予定です。11月は100周年を迎えるロシア革命をめぐって講演いただきます。

詳細は追ってお知らせいたします。


全国的に天候の不順な夏でした。関東以北は梅雨と真夏が逆転したようなおかしな陽気が続き、人も農作物も健やかな時の流れを損なわれたような印象です。それでも、雨雲の下を軽やかに走り、かき氷に歓声をあげる子供たちにとって、夏休みの輝きは失われなかったようでした。老若男女に豊穣な秋が訪れますように。

―夏休み終え静けさや寂しさや(佐々木なつ)

事務局だより(2017年6月24日)

前回6月の講演会では、明治以降、ロシアの民衆音楽が日本の音楽に与えた影響を歴史的にたどっていただきました。特に、日本の戦後歌謡のヒット曲とシベリア抑留体験のひそかな繋がりは新鮮な驚きでした。

次回7月は、上海に長く滞在された講演者をお迎えし、西洋列強により開港を余儀なくされた中国上海と日本横浜の歴史を対比検討していただきます。

8月は事務局の海外出張等のため、講演会はお休みをいただきます。9月の講演会は、9日(第2土曜日)の午後4時から開催予定です。幕末から明治期に活躍した洋学者箕作麟祥の著作『万国新史』(明治4年)を中心に、彼の家系である津山藩蘭学者の仕事にも触れつつお話しいただきます。詳細は追ってお知らせいたします。


空梅雨気味だった東日本も、雨雲に覆われる日が増えてきそうな6月末を迎えています。お忙しい日常のなか、眠気を誘うそぼ降る雨に身をゆだねて、きたるべき炎暑に備えるようなひと時を愛おしみください。

―青梅に手をかけて寝る蛙哉(小林一茶)

事務局だより(2017年5月24日)

5月は、かつて日本の委任統治領であった南洋諸島のうち、グアム、ポンペイ、パラオ、サイパンの4島を中心に、植民と戦争の過去を辿るお話を伺いました。土地と人々の記憶に残る20世紀史の生々しい痕跡が、現代のわれわれの存立の基盤にも思いをいたさせるような、深い余韻を残す講演でした。

次回6月の講演会では、音楽学者であると同時に作曲家でもある講演者をゲストにお迎えします。確固とした底流の存在にもかかわらず、現在、顧みられる機会が多くない日露文化交流史ですが、講演では、ロシアの歌と日本の歌謡曲の繋がりというユニークな視座からお話しくださいます。

どうぞ奮ってご参加ください。

7月の講演会は、8日(第2土曜)16時から、幕末の横浜と上海の状況を比較検討するお話を予定しています。また、8月は事務局の海外出張等のため、月例講演会はお休みとさせていただきます。9月以降の予定は追ってお知らせいたします。


例年よりだいぶ早い夏日の到来に、日差しに手をかざし、汗をぬぐいながらの街出になった5月でした。いっぽうで、公園や家々の垣根越しには、早々と紫陽花が浅い色を帯び始めて、雨の季節が近づきつつあることを感じさせます。蒸し暑さが増していく季節ですが、健やかにお過ごしください。

―番傘の軽さ明るさ薔薇の雨(中村汀女)

事務局だより(2017年4月26日)

前回4月の講演会では、日本の航空・宇宙産業のトップランナーとしてご活躍の講演者をお迎えし、開発に携わってこられた数々の「空気の作用によって大気中に支えられる機械」エアクラフト(航空機)について、気球に始まるその歴史も踏まえつつ、分かりやすくお話しいただきました。宇宙ステーション補給機こうのとりを打ち上げたロケットや、宙を飛ぶという意味で飛行体であるリニアモーターカーなどにもかかわってこられたとのこと。ご講演は科学技術と国の産業政策にも及ぶなど、たいへん刺激的でした。

次回5月の講演会では、本フォーラム理事長と副理事長のお二人から、かつて日本の委任統治領であった南洋の島々についてお話しいただきます。

どうぞ奮ってご参加ください。

6月の講演会は、10日(第2土曜)16時から、ロシアの音楽と黎明期の日本歌謡曲のあいだにあったつながりについてお話しいただきます。7月の講演会は、8日(第2土曜)16時から、幕末の横浜と上海をめぐるテーマでお話しいただく予定です。

詳細は追ってお知らせいたします。


新年度もそろそろひと月が経過し、黄金週間が目前に迫っています。自然は人の思いを乗せて、あるいは取り残し、どんどん進み循環していきますが、しばし緩やかな時間に心身をお安めください。

―旅疲れ少しもあらず若葉風(星野立子)

事務局だより(2017年3月22日)

3月は、通常の講演会に代えて、歴史散歩を行いました。お二人のガイドに解説いただきながら、両国の回向院、吉良邸跡、勝海舟旧居跡、芥川龍之介文学碑をめぐり、江戸東京博物館を見学しました。江戸の幻景が目前に立ち上がってくるような、充実した春のひと時でした。

次回4月の講演会では、三菱航空機株式会社の元社長をお迎えし、日本の航空機の歴史と、航空機開発の現況についてお話しいただきます。

どうぞ奮ってご参加ください。

5月の講演会は、13日(第2土曜)16時から、かつて国際連盟により日本の委任統治下に置かれていた南洋諸島についてお話しいただきます。6月の講演会は、10日(第2土曜)16時から、ロシアの歌と黎明期の日本歌謡曲の関係をめぐるお話を予定しています。

詳細は追ってお知らせいたします。


桜の開花予想に心騒ぐ季節になりました。この時期は、左党のはずのひとまで、ついつい甘いものに手が出てしまったりします。華やいだ光と、春風のたおやかな香りのせいでしょうか。

―両の手に桃とさくらや草の餅(松尾芭蕉)

事務局だより(2017年2月15日)

2月の講演会では、ヒンドゥー教の聖地であるヴァラナシィで長年フィールドワークを重ねてきた講演者の方から、ご自作の地図をもとに、街路に数多く佇む神々のシンボルであるリンガ像や、人びとの信仰の姿についてお話しいただきました。また、そこに暮らす日本人妻の聞き取り調査の結果も紹介いただき、民族、言語、宗教、階級等の相違が織りなす複雑なインド社会を展望するための糸口を分かりやすく示してもらいました。

次回3月の講演会は、いつもの渋谷の会議室を離れ、下掲の要領で江戸の歴史を探訪するエクスカーションを実施いたします。江戸東京博物館で案内役をお務めになる、江原祥郎氏と野田莞爾氏が散策からご同行し、説明くださいます。

どうぞ奮ってご参加ください。

4月の講演会は、月後半の22日(第4土曜日)の午後4時からになります。三菱航空機株式会社の前社長を講演者にお迎えし、日本の航空機産業についてお話しを伺う予定です。5月の講演会は13日(第2土曜)午後4時から、南洋諸島をテーマに予定しています。詳細は追ってお知らせいたします。

詳細は追ってお知らせいたします。


窓外の光りが日々強さを増し、いまだ冷気とどまる街角でも、ふと、いずこから飛んでくる梅の香を感じることがあります。躍動への予感に満ちた季節をお楽しみください。

―うす雪を透いてみどりや蕗の薹(原石鼎)

事務局だより(2017年1月18日)

1月の講演会では、幕末の侠客国定忠治の生涯と時代について、当時の資料をもとに検証しました。毀誉褒貶あって歴史上の位置づけは難しい存在ではあるものの、為政者側を含め同時代の少なからぬ人々が、お上に対抗する彼の振る舞いに語り伝えるべきものを感じていた点は確かなようです。まさにそこに、アウトロー史の意義を見出すことができるように思いました。

次回2017年2月の講演会では、長年インドでフィールドワークを重ねてきた講演者の方に、宗教都市ヴァラナシィの死と生、聖と俗が併存する空間について、また、そこに嫁いだ日本人女性たちの社会や家庭でのありかたに焦点を当ててお話しいただきます。

どうぞ奮ってご参加ください。

3月は講演会に代えて、エクスカーションを行います。3月4日(第1土曜日)午後3時から両国の史跡をめぐり、江戸東京博物館を見学する予定です。また、4月の講演会は、月後半の22日(第3土曜日)の午後4時からになります。

詳細は追ってお知らせいたします。


はや小正月も過ぎ、皆さまにおかれましては、あらたまの2017年を順調に漕ぎ出されたことと存じます。本年もどうぞ本NPOへのご支援ご叱咤をよろしくお願い申し上げます。

日足が伸びてきたとはいえ、寒さはむしろ厳しさを増す時期です。どうぞ体の内外を温めてお過ごしください。

―大寒やしづかにけむる茶碗蒸(日野草城)

事務局だより(2016年12月21日)

12月の講演会では、一般に鎖国の時代とされる江戸期において、琉球王国が公式に行っていた交易に由来する薬種や海産物などのモノの流通について、さらに、八重山諸島で行われてきた独特な稲作文化について、貴重な図絵をもとにお話しいただきました。歴史を見る視野が広まる驚きを、心地よく堪能できる集いとなりました。

次回2017年1月の講演会では、幕末の博徒、国定忠治を取り上げます。重罪犯として磔刑に処せられたアウトローでありながら、後年、大衆文化の中で義侠の人と標ぼうされるようになった忠治を、彼の生きた時代と地域の中で見つめ直します。どうぞ奮ってご参加ください。

次回講演会は、2月11日(第2土曜日)午後4時から、インドのお話を伺います。講演者は、近年、インドに嫁ぎ異文化を生きる日本女性たちについて現地調査を続けています。

詳細は追ってお知らせいたします。


本年中は、月例講演会や海外交流事業を始め、さまざまな場で歴史文化交流フォーラムを支えていただき、ありがとうございました。

揺れ続ける世界は、ポピュリズムや他者への排除意識が高まり、ますます不穏です。それでも、年末年始は新しい年への期待に温まりつつ過ごしたいものです。どうぞ、皆さま、よいお年をお迎えください。

―下駄買って箪笥の上や年の暮れ(永井荷風)

事務局だより(2016年11月30日)

11月の講演会では、現在の韓国が直面する国内的、対外的諸問題(朴大統領をめぐるスキャンダル、対日本、対北朝鮮等)について、政治経済の歴史を踏まえつつ、将来への展望も含めてお話しいただきました。日本の現在の問題点も映し出されて、我が身を振り返る機会も与えられました。

次回12月講演会では、八重山研究をご専門とする講演者から、沖縄の農業作物を中心に、外来と内在が混交する、その独自な地理的文化的位相についてご紹介いただきます。

どうぞ奮ってご参加ください。

次回講演会は、1月14日(第2土曜日)午後4時から、侠客国定忠治を取り上げ、その反逆の姿勢が幕末社会において意味していたものについて考えます。次々回は2月11日(第2土曜日)午後4時から、インドに嫁いだ日本女性たちについて現地調査を続けている講演者からお話を伺う予定です。

詳細は追ってお知らせいたします。

12月講演会終了後、忘年会を催します。詳細は、こちらをご覧ください。


師走を前に、関東の平野部にも1か月以上早い初雪が舞いました。短日の陽だまりに、命の愛おしさがとりわけ深く感じられる季節になりました。行く年の最終月を健やかにお過ごしください。

―谷々の家々にある冬日かな(高浜虚子)